問題の発端:WordPressとWP Engineの対立
2024年9月下旬、WordPressの創設者であるMatt Mullenweg氏と、WordPressに特化したマネージドホスティングサービスを提供するWP Engineとの間で対立が表面化しました。背景には、WP Engineが所有していた有名なプラグイン「Advanced Custom Fields (ACF)」をWordPress側がフォークしたことがあり、両者の間の関係が悪化していきました。
WP Engineとは?
WP Engineは、2010年に設立されたWordPressに特化したホスティング企業で、プレミアムマネージドホスティングサービスを提供しています。多くの企業や個人が同社のホスティングサービスを利用しており、特にWordPressに関連するパフォーマンスやセキュリティの面で評価されています。
騒動の時系列
- 2024年9月17日
Matt Mullenweg氏が自身のブログで、WP EngineがWordPressエコシステムに対して十分な貢献をしていないと公開批判しました。 - 2024年9月20日
「WordCamp US 2024」というイベントで、Mullenweg氏はWP Engineをさらに厳しく批判するスピーチを行い、対立が拡大しました。 - 2024年9月25日
WordPressは公式声明を発表し、「WP Engineからのwordpress.orgへのアクセスをブロックする」という具体的な措置を取りました。この動きにより、WP Engineのプラグイン開発やサポートに支障が生じる可能性が浮上しました。 - 2024年10月14日
Mullenweg氏は「WP EngineはWordPressではない」という記事を発表し、事態はさらに深刻化。これにより、WordPressコミュニティ内での議論が活発化し、WP Engineの役割やその影響についての疑問が強まっています。
「Advanced Custom Fields (ACF)」とフォーク問題
WP Engineが所有していた「Advanced Custom Fields (ACF)」は、WordPressサイトのカスタムフィールドを管理するための非常に人気のあるプラグインです。このプラグインは、開発者やデザイナーがクライアントに対して簡単にカスタムコンテンツを作成できるようにするため、広く利用されてきました。
しかし、2024年に入ってから、WordPressの開発チームがACFをフォーク(オリジナルのコードを元に新しいバージョンを開発すること)する動きに出ました。この決定は、WP Engineとの対立を引き起こす要因の一つとなり、ACFの管理や更新に関してどちらが主導権を握るべきかという問題が焦点となっています。
影響と対処
この対立が拡大した結果、WordPressコミュニティやWP Engineのユーザーには以下のような影響が生じています。
- セキュリティリスク
WordPressがWP Engineからのアクセスをブロックすることで、WP Engineが提供するホスティングサービスやプラグインの利用者は、今後のアップデートやセキュリティパッチが適切に提供されるかどうか懸念を抱えています。 - プラグインの移行
特に「Advanced Custom Fields (ACF)」を含むWP Engineのプラグインを使用しているユーザーは、他の代替プラグインに切り替えるか、フォーク版を採用するかという選択を迫られています。
結論
WordPressとWP Engineの対立は、単なる批判合戦に留まらず、セキュリティやプラグイン管理といったエコシステム全体に深刻な影響を与える事態に発展しました。WordPressがACFをフォークしたことを含め、両者の関係修復が早期に行われない限り、ユーザーにとっても今後のリスクや不安は増大するでしょう。
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