今は姿を消した暗号通貨のHYIPとPump-and-Dumpという詐欺案件

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恐らく、ここ2020年以降くらいで暗号通貨やWEB3を始めた人は、知らない方も多いかもしれない、HYIPやPump-and-Dumpと呼ばれる暗号通貨の投資案件があったのをご存じでしょうか?

暗号通貨のHYIP案件とは?

HYIP(High Yield Investment Program)は、極端に高い利回りを謳う投資プログラムで、暗号通貨の世界でも一時期流行した詐欺的投資スキームです。HYIPは「高利回り」を売りにして、投資者を集めますが、その多くはポンジスキームの一種で、新規参加者からの資金を既存投資者への支払いに充てるため、実質的な利益を生む仕組みは存在しません。

HYIPの仕組み

  1. 高利回りの宣伝
    HYIP案件では、数日〜数週間で数十%、場合によっては100%以上のリターンを保証することがよくあります。例えば、暗号通貨を一定量投資すれば、1日で10%のリターンが得られるといった非現実的な数字が提示されます。
  2. 初期投資者への利益分配
    初期投資者は新たな参加者から集めた資金によって利益を得るため、HYIP案件は当初、実際に利益が出ているように見えます。そのため、投資者がさらに大きな金額を投資したり、友人や家族を勧誘することもあります。
  3. 突然の崩壊
    新規投資者が減少すると、既存投資者への支払いが滞り、HYIPは突然運営を停止し、投資者は元本を失うことがほとんどです。これはポンジスキームと同様の構造であり、初期の一部の参加者を除いて多くが損をします。

暗号通貨におけるHYIP

暗号通貨市場では、特にビットコインやイーサリアムなどの取引が活発になるとともに、HYIPが活発化しました。暗号通貨の匿名性やグローバルなアクセスのしやすさを利用して、多くの詐欺的なHYIP案件が展開されました。一部の案件は巧妙にサイトを作成し、信頼性を高めるために偽のレビューや証拠を掲載していましたが、最終的には破綻しています。

暗号通貨のPump-and-Dump案件とは?

Pump-and-Dump(パンプ・アンド・ダンプ)は、特定の暗号通貨やトークンの価格を人工的に引き上げ(パンプ)、価格が高騰したところで大量に売却(ダンプ)し、利益を得る市場操作の一種です。この手法は、伝統的な株式市場でも使用されてきたものですが、規制が緩い暗号通貨市場では特に顕著でした。

Pump-and-Dumpの仕組み

  1. パンプ(Pump)
    詐欺師や仕手集団が協力して、ターゲットとする暗号通貨の価格を短期間で急上昇させます。これは通常、偽の情報や誇張された将来の展望などを流すことによって行われます。また、SNSや暗号通貨フォーラムで「このコインはすぐに急騰する」といった噂を拡散し、一般の投資者を巻き込みます。
  2. 一般投資者の参入
    この噂に乗った一般投資者が次々に参入し、価格が一気に上昇します。価格が上がることでさらに多くの人々が注目し、新たな投資者が資金を投入します。
  3. ダンプ(Dump)
    価格が十分に上がったところで、仕手集団や詐欺師は保有している暗号通貨を一気に売却します。これにより、価格は急落し、後から購入した投資者は大きな損失を被ります。
  4. 市場崩壊
    ダンプが始まると、ほとんどの投資者が損をする形で市場は崩壊します。最も早く売却した者だけが利益を得ますが、それ以外の投資者は大きな損失を受けます。価格は元に戻らず、そのコインの価値が消滅することもあります。

暗号通貨におけるPump-and-Dump

暗号通貨市場は、特に2017年〜2018年のICO(Initial Coin Offering)ブームの時期に、このPump-and-Dumpが多発しました。流動性が低い、価値の裏付けが不明確なアルトコインや新しいトークンがターゲットにされました。詐欺師たちは、TelegramやDiscordといったコミュニティで投資者を誘い、タイミングを計って価格操作を行っていました。

HYIPとPump-and-Dumpの共通点と違い

項目 HYIP Pump-and-Dump
特徴 高利回りを謳い、資金を集める 市場操作で価格を吊り上げ、売却する
ターゲット 一般投資者 新規参入者や低流動性のトークン
利益の源泉 新規投資者からの資金 一時的に高騰した価格での売却利益
リスク 短期間で破綻し、元本を失う 突然の価格暴落で大きな損失を被る
主な実行者 詐欺師や詐欺グループ 仕手集団や市場操作を行う投資家グループ

現在の暗号通貨市場における状況

最近の暗号通貨市場は、規制が強化され、取引所の監視も厳しくなってきたため、これらのHYIPやPump-and-Dump案件は姿を消しつつあります。しかし、依然として新しい投資者が多い暗号通貨市場では、似たような詐欺が現れる可能性があります。

まとめ

暗号通貨のHYIPやPump-and-Dumpは、かつて多くの投資者を巻き込んだ詐欺的な投資案件です。短期的な高利回りを狙うものや、価格操作を行って一部の投資者が利益を得る一方で、多くの投資者が損をするという構造的な問題を抱えていました。暗号通貨市場では常にリスクを認識し、過度に高い利回りや急激な価格変動に警戒することが重要です。

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